ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

コピュラ

鈴木博(1977.12)医方大成論抄における用語の違いについて

鈴木博(1977.12)「医方大成論抄における用語の違いについて」『国語学』111. 要点 医方大成論抄の東大本・京大本の2本の間に見られる相違について。 京大本には「安芸道本」、東大本には「済庵」の奥書がある。 東大本・京大本は転写の関係になく、姉妹関…

山本佐和子(2021.3)中世室町期の注釈書における「~トナリ」の用法

山本佐和子(2021.3)「中世室町期の注釈書における「~トナリ」の用法」『筑紫日本語論叢Ⅲ』風間書房. 要点 杜詩抄に特徴的に用いられる、原典の登場人物の発話の解釈に用いられる「トナリ」について考える。 蘇源明トノハ去モノトヲ知リサウタホドニ、酒銭…

山本佐和子(2016.3)五山・博士家系抄物における濁音形〈候゛〉について

山本佐和子(2016.3)『五山・博士家系抄物における濁音形〈候゛〉について」『国語語彙史の研究35』和泉書院. 要点 杜詩抄などの五山・博士家系抄物に、濁音形「ゾウ」があり、 これは、他の文末形式(ヂャ・ゾ)と併用され、周辺的・補助的な注釈内容を示…

近藤要司(2020.11)述部内部の係り結び:連体形ニアリに係助詞が介入する場合

近藤要司(2020.11)「述部内部の係り結び:連体形ニアリに係助詞が介入する場合」青木博史・小柳智一・吉田永弘編『日本語文法史研究5』ひつじ書房. 要点 ニアリ構文に係り結びが介入する例の変遷について考える。 間なく恋ふれにかあらむ草枕(万621) 上…

釘貫亨(1999.12)断定辞ナリの成立に関する補論:万葉集と宣命を資料として

釘貫亨(1999.12)「断定辞ナリの成立に関する補論:万葉集と宣命を資料として」『日本語論究6 語彙と意味』和泉書院. 要点 前稿(釘貫1999)の結論を踏まえ、ナリがニアリから分離する過程を具体的に推定する。 タリ・ナリはともに連体修飾に集中し、ニアリ…

釘貫亨(1999.7)完了辞リ、タリと断定辞ナリの成立

釘貫亨(1999.7)「完了辞リ、タリと断定辞ナリの成立」『万葉』170. 要点 「どのような文法的条件によってテアリからタリが、ニアリから断定ナリが、また動詞+アリからリを生起したのか」について考える。 タリ・テアリについては、以下の特徴が認められる…

金沢裕之(1991.12)明治期大阪語資料としての落語速記本とSPレコード:指定表現を中心に

金沢裕之(1991.12)「明治期大阪語資料としての落語速記本とSPレコード:指定表現を中心に」『国語学』167. 要点 明治期中期の速記本、末期の落語SPレコードが、明治期大阪語の資料として有用であることを示す。 コピュラのヤを事例とすると、 近世末期(穴…

篠崎久躬(1996.10)江戸時代末期長崎地方の文末助詞「ばい」と「たい」

篠崎久躬(1996.10)「江戸時代末期長崎地方の文末助詞「ばい」と「たい」」『長崎談叢』85. (篠崎久躬(1997.5)「文末助詞:「ばい」と「たい」」『長崎方言の歴史的研究:江戸時代の長崎語』長崎文献社 による) 要点 当期の長崎方言資料には、バイ・タ…

大坪併治(1982.5)原因・理由を表はす文末のバナリについて

大坪併治(1982.5)「原因・理由を表はす文末のバナリについて」『訓点語と訓点資料』67. 要点 以下の已然形バ+ナリが、上代にはなく、中古には和歌、和文(散文)、訓読文に見られる。この文体間の差について、比較考察を行う。 吹く風の色の千種に見えつ…

野村剛史(2015.1)中古の連体形ナリ:『源氏物語』を中心に

野村剛史(2015.1)「中古の連体形ナリ:『源氏物語』を中心に」『国語国文』84(1). 要点 中古のナリ文と現代のノダ文の対照を行う。*1 まず、連体ナリについての数値的な事柄、 推定的要素がつくナリ文が全体の約55% ナリ文の準体部分はコト準体が多いが、…

野村剛史(2015.5)通時態から共時態へ:その2(ノダ文・ナリ文の場合)

野村剛史(2015.5)「通時態から共時態へ:その2」『国語国文』84(5). 要点 野村(2013)で主張した「共時態の記述に際する通時的研究の重要性(不可欠性)」について、アスペクト・テンス、ノダ文を事例として扱う(前半は前の記事で)。 「事情文」(説明…

高山善行(2021.3)中古語助動詞の分類について:「連体ナリ」との承接の再検討

高山善行(2021.3)「中古語助動詞の分類について:「連体ナリ」との承接の再検討」『国語国文学(福井大学)』60. 要点 北原の連体ナリの分類についての疑問点 ① 準体句内にモダリティが生起できるのにも関わらず、連体ナリに客体的表現だけが上接すること …

村上謙(2006.10)近世前期上方における尊敬語表現「テ+指定辞」の成立について

村上謙(2006.10)「近世前期上方における尊敬語表現「テ+指定辞」の成立について」『日本語の研究』2(4). 要点 近世前期上方に成立した、敬意を有するテ+指定辞(e.g. 聞いてじゃ)の成立に、「テゴザルからの変化」説を主張する 以下の従来説は、いずれ…

長崎靖子(2004.11)江戸語から東京語に至る断定辞としての終助詞「よ」の変遷

長崎靖子(2004.11)「江戸語から東京語に至る断定辞としての終助詞「よ」の変遷」『近代語研究12』武蔵野書院. 要点 前稿(2004.3)で示した江戸語の断定を表すヨの通時的変遷を、サとの比較も含めて考える 江戸語の断定のヨは女性の使用に(結果的に)制約…

長崎靖子(2004.3)『浮世風呂』『浮世床』に見る断定辞としての終助詞「よ」の位相:断定辞としての終助詞「さ」との比較から

長崎靖子(2004.3)「『浮世風呂』『浮世床』に見る断定辞としての終助詞「よ」の位相:断定辞としての終助詞「さ」との比較から」『会誌(日本女子大学)』23. 要点 江戸語で断定を表すヨの位相を、サ(長崎1998)との比較から考える ヨは、 男女ともぞんざ…

長崎靖子(1998.3)江戸語の終助詞「さ」の機能に関する一考察

長崎靖子(1998.3)「江戸語の終助詞「さ」の機能に関する一考察」『国語学』192. 要点 現代語では終助詞サは仲間内のぞんざいな会話に使用されるものとされるが、 江戸・東京語では、幕末までは丁寧な会話にも使用される (福助→金)さやうさ 是ぢやア豊年…

勝又隆(2014.7)古代日本語におけるモノナリ文と連体ナリ文の構造的差異について

勝又隆(2014.7)「古代日本語におけるモノナリ文と連体ナリ文の構造的差異について」『西日本国語国文学』1. 要点 古代語の主節述部におけるモノナリと連体ナリは、以下の特徴を持つ。 Vナリは係り結びと共起しないが(高山2002)、モノナリはNナリ同様共起…

葛西太一(2020.8)日本書紀における語りの方法と定型化:文末表現「縁也」による歴史叙述

葛西太一(2020.8)「日本書紀における語りの方法と定型化:文末表現「縁也」による歴史叙述」『和漢比較文学』65. 要点 書紀における、述作者の立場による注釈的記事が双行ではなく本行に現れるケースを「語り」として取り上げ、各記事の述作方針について考…

妙摩光代(1979.8)『中華若木詩抄』に見る文末の「也」と「ソ」

妙摩光代(1979.8)「『中華若木詩抄』に見る文末の「也」と「ソ」」『田邊博士古稀記念国語助詞助動詞論叢』桜楓社. 要点 中華若木詩抄のナリ・ゾについて、以下の特徴を得た 先行論が博士家系を対象とすること、中華若木詩抄が単純な聞書でない(手控的性…

大鹿薫久(2007.4)「連体なり」の性格:源氏物語の文章を通して

大鹿薫久(2007.4)「「連体なり」の性格:源氏物語の文章を通して」加藤昌嘉(編)『講座源氏物語研究 第八巻 源氏物語のことばと表現』おうふう.*1 要点 連体ナリが以下の性質を持つことに基づいて、その意味と、連体ナリの性格について考える ①ナリ∅(ナ…

坂詰力治(1972.9)清原宣賢講『論語抄』における文末表現について:指定辞「ゾ」「ナリ」を中心として

坂詰力治(1972.9)「清原宣賢講『論語抄』における文末表現について:指定辞「ゾ」「ナリ」を中心として」『国語学研究』11. 要点 論語抄(宣賢抄)と論語聴塵におけるゾ・ナリについて、 聴塵においては文はナリもしくは動詞・助動詞で終止するが、抄にお…

岩間智昭(2022.2)近世口語資料としての近世中期勧化本試論:菅原智洞作『浄土勧化文選』を対象に

岩間智昭(2022.2)「近世口語資料としての近世中期勧化本試論:菅原智洞作『浄土勧化文選』を対象に」『国文学論叢』67. 要点 以下の3点の分析より、『浄土勧化文選』(宝暦11[1761]刊)が、「「非中立的」な表現を内包する」資料であり、文語性の高い資…

田島光平(1964.3)連体形承接の「なり」について:竹取物語を中心にして

田島光平(1964.3)「連体形承接の「なり」について:竹取物語を中心にして」『国語学』56. 要点 結論を先に挙げる ① 平安時代初期の連体ナリは、連体形が体言的である場合(いまだ見ぬ(モノ)なり)を除き、根拠をもって相手に説明する場合に用いられる辞…

中川祐治(2001.3)中世末期における指定辞「ぢゃ」の構文的機能について:『天草版平家物語』と原拠本『平家物語』との比較を手がかりに

中川祐治(2001.3)「中世末期における指定辞「ぢゃ」の構文的機能について:『天草版平家物語』と原拠本『平家物語』との比較を手がかりに」『国文学攷』169. 要点 平家の対照に基づいて、ヂャの機能について考える ヂャは登場人物の会話・心情、喜一の相づ…

高山善行(1994.8)〈体言ナリ〉と〈連体ナリ〉の差異について

高山善行(1994.8)「〈体言ナリ〉と〈連体ナリ〉の差異について」『国語語彙史の研究14』和泉書院. 要点 中古のNナリとV連体ナリは、以下の差異を持つ p.234(先にまとめ) 分析 下接語について Vナリは否定と結びつきにくい:ニアリが連体ナリの役割を果た…

近藤泰弘(1989.3)中古語の分裂文について

近藤泰弘(1989.3)「中古語の分裂文について」『日本女子大学紀要 文学部』38(近藤2000「中古語の分裂文」を参照). 要点 中古語の分裂文には、主語がモノ・ヒトとして解釈されるが、これが石垣法則に反するという問題がある [たけきものゝふの心をもなぐ…

矢島正浩(1989.1)近松世話物における断定ナリ終止形残存の意義

矢島正浩(1989.1)「近松世話物における断定ナリ終止形残存の意義」『文芸研究 文芸・言語・思想』120. 要点 旧形式ナリを以下のように分類すると、 A 文を完結させ得ない(いわゆる並列) B 文を完結させ得る イ 話手の判断の加わる余地無し ロ 話手の判断…

原まどか(2014.2)推定伝聞「なり」と断定「なり」:終止形と已然形の場合

原まどか(2014.2)「推定伝聞「なり」と断定「なり」:終止形と已然形の場合」『国語研究(国学院大学)』77. 主張 以下の基準で区別できない2種のナリについて考える 終止連体同形の場合の終止形 已然形が助詞を下接する場合 p.37 已然形の場合、 形容詞本…

勝又隆(2021.3)中古散文における「連体形+ゾ」文の用法:ノダ文・連体ナリ文との共通点と相違点

勝又隆(2021.3)「中古散文における「連体形+ゾ」文の用法:ノダ文・連体ナリ文との共通点と相違点」『筑紫語学論叢Ⅲ』風間書房. 要点 ノダ文と連体ナリ文は比較検討されているが、これまで検討されたことのない連体形ゾも含めて考えると、以下の通り ゾが…

森野崇(1993.5)奈良時代の終助詞「ぞ」について

森野崇(1993.5)「奈良時代の終助詞「ぞ」について」『国語国文』62(5). 要点 前稿(森野1992)で述べた、中古の終助詞ゾの特徴が、上代のゾにも当てはまるのかを検証する 中古のゾ:「判断の対象として素材化されたモノ・コトについて、表現主体の断定の判…