妙摩光代(1979.8)「『中華若木詩抄』に見る文末の「也」と「ソ」」『田邊博士古稀記念国語助詞助動詞論叢』桜楓社.
要点
- 中華若木詩抄のナリ・ゾについて、以下の特徴を得た
- 先行論が博士家系を対象とすること、中華若木詩抄が単純な聞書でない(手控的性質を持つ)ことを踏まえる
- ナリにはNナリ・V(助動詞含む)ナリ両用あるが、ゾにはVゾが大半
- 動詞後接の場合にはナリ・ゾが均等に現れるが、アリ・云フにはゾが付きやすい
- 通釈の場合にはナリ・ゾが均等だが、語釈・鑑賞にはナリが多い
- 特に直接的語釈(提示された主語と叙述すべき事柄とが密接な関係で、普遍的な内容である場合)にはナリを使う
- 鑑賞文にはナリが使用され、特に総合判断に基づく漢詩の評語にはほぼナリが使われる
- 故事・引用の地の文にもナリが多用され、(会話引用の場合にはゾだが、)会話が漢文体表記、尊敬語による会話、解説的要素のある文の文末もナリである
- ゾは各説の引用に「~云フ」とともに使用され、登場人物の心情を解説する場に散見する
- 全体的に、ゾは通釈文に多い一方で、上のナリ優勢のケースにもゾが見られるが、これは「漢詩の解釈に講述者独自の見解が織り込まれた」場合である
雑記
- リアフォR3を買うか悩む、日常的に持ち運ぶにはちょっと重いし肩痛めそう