大坪併治(1969.6)提示語法について:訓点資料と今昔物語とを中心に
大坪併治(1969.6)「提示語法について:訓点資料と今昔物語とを中心に」『佐伯博士古稀記念国語学論集』表現社.
要点
- 提示語法(「文中のある語を無格のままで提示し、これを代名詞で受けて特定の格を与える形式」)は、訓点資料に幅広く認められ、
- 和漢混淆文にも引き継がれたと考えられる(→大坪1981「提示語法」)
- 特に今昔に見られる提示語法は、以下の特徴を持つ
- 天竺震旦部、本朝部の初めに偏って現れる(前半が漢文脈の系統であることと符号)
- 承ける代名詞が主語のものが最も多く、これは和漢混淆文・訓点語の一般的特徴であっただろう
- 薬筋一ツガ布三段ニ成ヌル事、此レ観音ノ御助也ケリ。(今昔)
- 会話・心話に現れるものが多い(理由はよくわからない)
雑記
- 「全然中身ができあがってないのに二校が来てしまう」っていう、妙にリアルな夢を見た 怖かった