ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

長崎靖子(1998.3)江戸語の終助詞「さ」の機能に関する一考察

長崎靖子(1998.3)「江戸語の終助詞「さ」の機能に関する一考察」『国語学』192.

要点

  • 現代語では終助詞サは仲間内のぞんざいな会話に使用されるものとされるが、
  • 江戸・東京語では、幕末までは丁寧な会話にも使用される
    • 福助→金)さやう 是ぢやア豊年でござります(浮世風呂・上)
  • 江戸語のサには、「助動詞「だ」に類する断定の働き」があり、これが当時のサの主たる機能であると考えられる
    • これは、サの動詞・形容詞・助動詞への接続例の少なさが傍証となり、
    • ヨ・ネも断定辞としての働きが現代語より強かったのではないか
  • この変化は田中(1965)の「分析的傾向」に沿うもので、「情緒的な面をもつこれらの終助詞は、断定辞という文法的機能を担う語から外されていった」ことと、丁寧に断定を表せるデスの発生によって起こったものである

雑記

  • 我々はまず、終助詞とかいう用語を使うのをやめたほうがいいのでは