坂井裕子(1992)「中古漢語の是非疑問文」『中国語学』239.
要点
- 中古漢語(後漢末~魏晋南北朝)の是非(以下、YN)疑問文の特徴を記述する。
- 上古漢語の乎・与・也・邪などの語気詞はWh疑問文にも用いられる(YN専用ではない)が、
- 中古の不・否・未などはYN疑問文専用であり、
- 唐代の無が磨・摩などを経て、現代の吗に至るとされる。
- 中古において、句末についてYN疑問文を作る否定詞は、
- 未:「まだ~していない」が句末で「すでに~したのか」という疑問文を作る。
- 非:是を述語とする句の末尾に用いられる。 君是賊非?
- 否:上古には「否乎」が見られ、中古には否単独で疑問文を作るようになる。
- 不:用例数・用法ともに最も豊富。
- 「有~不」(「有~無」はない)「無~不」「是~不」や、「曾~不」(≒未)などの句にも付くことができる。
- 意味・機能において「否」とは差がない。押韻の状況から、本来は語音の違いを反映したが、音変化によって差がなくなったものか。
- 句末の「不」は否定副詞の「不」とは語音が異なるので、語彙としても異なり、前代の乎などに替わって新たに登場した語気詞であると見る。
- 与不・与否など、不に比べて幾分形式的な語気を持っていたと考えられる形式がある。
- 特に句末に不などを用いるYN疑問文の特徴について、
雑記
- ありがたい
*1:おもれ~
*2:牛島1971にも記述あり https://dl.ndl.go.jp/pid/2526118/1/181