相原まり子(2011)中国語の韻律的手段による「文焦点」標示
相原まり子(2011)「中国語の韻律的手段による「文焦点」標示」『言語研究』139.
要点
- Lambrecht 2000 の、以下の「脱主題化の原則」の仮説を用い、中国語の文焦点(SF)標示について、音響的な面から考える。
- 脱主題化の原則:SF標示は、PF構文の主題を担う主語がもつ韻律的特徴と形態統語的特徴の両方、あるいはどちらかの取り消しを伴う。
Lambrecht は中国語の、VS構文や「有」構文をSF構文と見なすが、
主語の指示対象が聞き手にとって同定可能な場合はSV語順を取るため、そういった形態統語的手段を用いたSF標示はできない。
- PF文とSF文で、以下のパラメータを比較する。
- 持続時間:
- SF文の方がPF文よりも主語の持続時間の割合が大きい。すなわち、SF文の主語はPF文の主語とくらべて、文全体に対して長く発音される。
- 基本周波数(F₀)の変化幅:
- 主語の変化幅はSFの方が大きく、述語の変化幅はSFの方が小さい傾向がある。
- 持続時間:
- 「主語を韻律的に際立たせることでSFを標示する」のは英語も同様であるが、英語がピッチアクセントを置くのに対して、中国語はピッチよりも長さが重要な役割を果たしている可能性がある。声調があるために、英語よりも情報構造の違いをピッチに反映させにくいのではないか?
雑記
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