ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

原口裕(1971.3)「ノデ」の定着

原口裕(1971.3)「「ノデ」の定着」『静岡女子大学研究紀要』4

要点

  • 幕末までのノデは用例が少なく、デと併存する
    • 初例は軽口御前男(元禄16[1703])、「格助詞デが準体助詞ノに接続する」用法
    • 江戸川柳には比較的例が多く、明和・安永頃にようやくまとまった例が見られる
    • あゆひ抄は「何して」の里、古今集遠鏡にはいくらか条件表現にノデが対応する箇所がある
    • 幕末も依然として少ない
  • ノデが定着しない理由3点、
    • ノデの因果関係が客観的描写に限定され、格助詞と等質であること
    • 口頭語ではカラが支配的な環境で、会話を主体とする作品に単純な平叙文が少ない
    • 文章語では通俗的であってもユヱが用いられる
  • ノデの定着は明治10年
    • 近代に入るとカラを用いないノデ専用体も出現し、
    • 後件での主観的態度の表現も可能になる

雑記