ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

篠崎久躬(1962.12)幕末期佐賀地方の助詞:「滑稽洒落一寸見た夢物語」を中心にして

篠崎久躬(1962.12)「幕末期佐賀地方の助詞:「滑稽洒落一寸見た夢物語」を中心にして」『語文研究』15.

要点

  • 『滑稽洒落一寸見た夢物語』、『伊勢道中不案内記』を用いて幕末期佐賀の助詞の記述を行う。
  • ガ・ノ:
    • 一人称にガ、二人称にノ(軽蔑する場合にガ)、三人称の尊敬する場合にノ(軽蔑する場合にガ)の、「敬卑感情上の用法差」がある。
  • 方向を示す格助詞:
    • 中央語ではニが限定的であるが、佐賀ではなお残存し、
    • サ・サマ系のサミャー(<様へ)・サヘ・サニが用いられる。
    • 他資料を併せて考えると、歴史的変遷は以下の通り。

p.31

  • 接続助詞:
    • ケン・ケヘ・ケヘニがあり、ケヘ・ケヘニの方がケンより成立が早い。
    • ギイ、バッテンの例がある。
      • なお、バッテンは『柳川方言澄河沙一撮』に例があり、ここには既にバトテの例がない。博多小女郎波枕や浮世風呂に例がないことを考えると、バッテンの成立は19Cに入ってまもなくか。

雑記

  • 定期的に聞きたくなる

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