駒走昭二(2017.10)「ゴンザ資料におけるカス型動詞」『日本語の研究』13(4)
要点
- ゴンザ資料のカス型動詞を取り上げ、18C薩隅での特徴を整理する
- 形態的特徴、
- akasuが多い(中世の中央語と同様)
- 半数がラカス
- 音節数は4音節が多く(中央語は5音節)、2音節動詞からも盛んに派生されていた
- 派生元の動詞は有対自動詞だけではない(中世以降の中央語と同様)
- 表現価値は、基本的に他動性を有し、他動詞よりも「完全さ」や「過度さ」を表示し、動作主をより強く表出する
- 無対自動詞から派生したものを見ると、ロシア語訳は対格を取っている
- 対応するロシア語を見ると、「十分な」「完全な」「過度の」と言った意の接頭辞が付く例が注目される
- 他動詞的な意味的な差異を考えるために、文脈がある例に絞って見ると、「動作主を強く表出」という指摘(青木1997)と合致する
- 「単語欄には他動詞、本文ではカス型」(もしくはその逆)の例があり、
- カス型を用いるべき場面で使われないのは動作主が人物以外の場合で、本文だけでカス型が用いられるのは動作主が人物の場合である
- なお、動作主の有生性が文法形式に影響を与える事例が他にもある(オル・アルの使い分け、ユル・ラユルが独立して存在すること)
雑記
- カスシリーズ一旦おしまい