宮内佐夜香(2015.3)近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照
宮内佐夜香(2015.3)「近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照」『中京大学文学会論叢』1
要点
- 宮内(2007, 2013)を踏まえつつ、近世後期江戸語のドモ・ケレドモ・ガについて、特に、あまり考えられてこなかった上方の精査と、東西対照を目指す
- 近世上方語では、ドモ・ガ拮抗→ガ優勢→ケレドモ優勢となる(金沢1994)が、単純接続のケレド・ガについても見るべき
- 江戸語は基本的にガ>ケレドだが、ケレドが増加傾向にあり(宮内2007)、ド・ドモは慣用的な形式や位相の偏りがある(宮内2013)
- すなわち、江戸語よりも上方語の方がケレドの発達が優勢であることは分かるが、その他のこと(単純接続の発生の遅速)は明らかでない
- 上方語の調査結果に基づくと、
- 上方はド・ドモ・ケレドが中心でケレドが近世後期に発達する(が、江戸語では一貫してガが優勢)
- ドモの減少の領域にはケレドのみだけでなく、ケレドが優勢になる前に、「「ガ」も一度は勢力を伸ばしていたように見える」
- ケレドの変化(増加)のタイミングという点では上方語と江戸語は共通する
- ケレド類の増加は女性において起こっており、荘重スタイルの話者にはケレドは現れない
- 機能面から見ると、
- ガは安定して逆接・提示の両方に用いられるが、ケレドはほぼ逆接でしか用いられない。この点、共通する
- が、上方の方が江戸よりも提示の例が現れるのが若干早い点は注意される
雑記
- 接続助詞のことばっか考えてる、他の論文も読んだほうがいい