ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

構文・構文化

竹内史郎(2005.1)サニ構文の成立・展開と助詞サニについて

竹内史郎(2005.1)「サニ構文の成立・展開と助詞サニについて」『日本語の研究』1(1) 要点 サニ構文の先行論3点、 a 中古のサニは形容詞語幹+サ+ニ b 室町期は単一の形態素サニ c a,bより、[[…ノ~サ]ニ]→[[…ガ~]サニ]の変化と記述できる このう…

青木博史(2003.3)「~サニ」構文の史的展開

青木博史(2003.3)「「~サニ」構文の史的展開」『日本語文法』3(1) 要点 原因・理由を表す「形容詞語幹+サ+ニ」について、句の包摂の観点から考える 消長について、 現代語で「特定の語彙に固定されてはいない」(影山1993)とされるが、 実質的にはほぼ…

三宅知宏(2015.11)日本語の「補助動詞」と「文法化」・「構文」

三宅知宏(2015.11)「日本語の「補助動詞」と「文法化」・「構文」」秋元実治・青木博史・前田満『日英語の文法化と構文化』ひつじ書房 要点 三宅(2015)の続き 特に構文スキーマの観点による、補助動詞の分析の有効性を示す 前提 前稿では補助動詞の分析…

三宅知宏(2015.3)日本語の「補助動詞」について

三宅知宏(2015.3)「日本語の「補助動詞」について」『鶴見日本文学』19 要点 補助動詞として呼ぶべきカテゴリーを明確にし、 補助動詞の分析に「文法化」と「構文」の観点が有効であることを示す 前提 V1テV2の後項を指して「補助動詞」とする いわゆる複…

天野みどり(2017.11)受益構文の意味拡張:《恩恵》から《行為要求》ヘ

天野みどり(2017.11)「受益構文の意味拡張:《恩恵》から《行為要求》ヘ」天野みどり・早瀬尚子『構文の意味と拡がり』くろしお出版 要点 恩恵のテモラウがテモラワナイトの形で行為要求を表すことについて、構文の観点から考察 # テモラワナイト - 言い…

佐藤琢三(2016.5)構文としての「切っても切れない」

佐藤琢三(2016.5)構文としての「切っても切れない」庵功雄・佐藤琢三・中俣尚己編『日本語文法研究のフロンティア』くろしお出版 要点 いわゆる「結果キャンセル」の文について、 動詞の意味の総和に還元せず、「~テモ~シナイ」という構造自体が意味を持…

小野寺典子(2017.3)語用論的調節・文法化・構文化の起きる周辺部:「こと」の発達を例に

小野寺典子(2017.3)「語用論的調節・文法化・構文化の起きる周辺部:「こと」の発達を例に」同編『発話のはじめと終わり:語用論的調節のなされる場所』ひつじ書房 「周辺部」に関して 周辺部研究の重要性 ①「発話のはじめと終わり」(周辺部)が語用論的…

三宅知宏(2017.11)日本語の発見構文

三宅知宏(2017.11)「日本語の発見構文」天野みどり・早瀬尚子編『構文の意味と拡がり』くろしお出版 要点 「外に出てみると、雨が降っていた」のようなものを「発見構文」として扱う。課題として、 型の記述 テミルが生起しやすいこととその特性 英語との…