ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

文体史

豊島正之(1982.2)初期キリシタン文献の文語文に見える「ともに」について

豊島正之(1982.2)「初期キリシタン文献の文語文に見える「ともに」について」『国語と国文学』59-2 要点 現代語トモニの2用法 同格の場合にトモニ:AとBはともにデパートに買い物に行った 同格でないときにトトモニ:AはBとともにデパートに買い物に行った…

森野宗明(1960.3)ベラナリということば:位相上の問題を主として

森野宗明(1960.3)「ベラナリということば:位相上の問題を主として」『国語学』40 要点 ベラナリには、散文韻文両用説、韻文の男性語説などがあるが、以下の説を主張したい 1 平安初期としては訓点語としても用いられたが、口頭語とは(男性語の中であって…

村上昭子(1993.7)『大蔵虎明本狂言集』における終助詞「ばや」について

村上昭子(1993.7)「『大蔵虎明本狂言集』における終助詞「ばや」について」『小松英雄博士退官記念日本語学論集』三省堂 要点 舞台言語の文体の問題として、虎明本のバヤに焦点を当てて考える 「名乗り」とその後の独白による「行動予定の提示」を類型化す…

土居裕美子(2000.10)平安・鎌倉時代における「さわぐ」を構成要素とする複合動詞語彙

土居裕美子(2000.10)「平安・鎌倉時代における「さわぐ」を構成要素とする複合動詞語彙」『鎌倉時代語研究』 前提 平安和文と中世和漢混淆文の複合動詞語彙を考える さわぐ の前後項をそれぞれ以下の3つに分類 行動・動作:あけさわぐ/さわぎたつ 心情・…

佐佐木隆(2014.1)散文と韻文のミ語法

佐佐木隆(2014.1)「散文と韻文のミ語法」『国語国文』83(1) ※同(2016)『上代日本語構文史論考』おうふう による 前提 ミ語法に関する根本的な問題 はづかしみいとほしみなもおもほす(続紀27) 日国はイトオシムに引用、すなわち動詞連用形と見て、 古語…

高橋敬一(1979.6)今昔物語集における助動詞の相互承接

高橋敬一(1979.6)「今昔物語集における助動詞の相互承接」『福岡女子短大紀要』17 要点 助動詞の相互承接の豊かさ、使用頻度においても、今昔の文体上の区分は実証される 前提 相互承接の文体差に関して、築島(1963)は異なり語のみを挙げるが、使用頻度…

梅原恭則(1969.11)古今著聞集に於ける助動詞の相互承接

梅原恭則(1969.11)「古今著聞集に於ける助動詞の相互承接」『文学論藻』43 前提 実際の作品の分析・調査がなされたことがないので、古今著聞集をケースとして相互承接を検証したい 実態 以下表のようにまとめられる ナリ・タリ・ゴトクナリは「叙述の働き…

岸本恵実(2018.5)キリシタン版対訳辞書にみる話しことばと書きことば

岸本恵実(2018.5)「キリシタン版対訳辞書にみる話しことばと書きことば」高田博行・小野寺典子・青木博史(編)『歴史語用論の方法』ひつじ書房 前提 大文典における「話しことば」と「書きことば」の区別について考えたい ロドリゲスは日本語の大きな特徴…

楊瓊(2015.3)上代の接続詞「しからば」の発生について

楊瓊(2015.3)「上代の接続詞「しからば」の発生について」『同志社国文学』82 問題 日本語接続詞は中古においては未発達だが、シカラバの例が上代に既にある 万葉集唯一のシカラバの仮名書き例 人妻とあぜかそを言はむ然らばか(志可良婆加)隣の衣を借り…

乾善彦(2011.3)『三宝絵』の三伝本と和漢混淆文

乾善彦(2011.3)「『三宝絵』の三伝本と和漢混淆文」坂詰力治編『言語変化の分析と理論』おうふう 要点 三宝絵の諸本の関係性と、それを通して見る和漢混淆文のあり方について 前提 源為憲撰『三宝絵』(永観2[984]成)三伝本 平仮名本 関戸本(保安元[1…

劉洪岩(2015.3)中古日本語の統語構造に対する漢文訓読の影響:主要部構造変容を中心に

劉洪岩(2015.3)「中古日本語の統語構造に対する漢文訓読の影響:主要部構造変容を中心に」『東アジア日本語教育・日本文化研究』18 要点 漢文訓読が日本語に及ぼした統語構造の変化について 問題 漢文訓読によって、基本的な構造(基本語順)は影響を受け…

斎藤文俊(2018.11)明治初期における聖書の翻訳と日本語意識:漢文訓読語法「欲ス」を例に

斎藤文俊(2018.11)「明治初期における聖書の翻訳と日本語意識:漢文訓読語法「欲ス」を例に」沖森卓也編『歴史言語学の射程』三省堂 要点 聖書翻訳において、漢訳聖書の「欲す」が他本でどのように現れるかを見ることで、その文体選択のあり方を見る 聖書…

金水敏(2011.9)言語資源論から平安時代語を捉える:平安時代「原文一途」論再考

金水敏(2011.9)「言語資源論から平安時代語を捉える:平安時代「原文一途」論再考」『訓点語と訓点資料』127 要点 「平安時代は言文一途の時代であった」とする考え方の批判的検討 前提 言語に性質の異なる複数の階層が存在し、 第一言語:基本語彙と基本…

田中牧郎・山元啓史(2014.1)『今昔物語集』と『宇治拾遺物語』の同文説話における語の対応:語の文体的価値の記述

田中牧郎・山元啓史(2014.1)「『今昔物語集』と『宇治拾遺物語』の同文説話における語の対応:語の文体的価値の記述」『日本語の研究』10-1 要点 今昔と宇治拾遺の同文説話のパラレルコーパスを作ることで、「硬い」語彙と「軟らかい」語彙が抽出・特定で…

柳原恵津子(2012.3)自筆本『御堂関白記』に見られる複合動詞について

柳原恵津子(2012.3)「自筆本『御堂関白記』に見られる複合動詞について」『紀要(中央大学)』239 要点 記録語の複合動詞の性質について 「記録体には記録体特有の複合動詞が多くみとめられるという(峰岸明)氏の指摘は正しいものであり、古記録の用途に…

山本真吾(2017.9)訓点特有語と漢字仮名交じり文:延慶本平家物語の仮名書き訓点特有語をめぐる

山本真吾(2017.9)「訓点特有語と漢字仮名交じり文:延慶本平家物語の仮名書き訓点特有語をめぐる」『訓点語と訓点資料』139 要点 『つきての研究』以降における「漢文訓読語」の批判的総括 漢文訓読語、訓点語、訓点特有語 築島裕『平安時代の漢文訓読語に…

大川孔明(2017.9)和漢の対立から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型

大川孔明(2017.9)「和漢の対立から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型」『訓点語と訓点資料』139 要点 計量的観点による平安時代の和文体・漢文訓読体の文体対立・類型の分析 文体類型 CHJを用いて、語彙の対立を文体対立として見ることで分析 漢語の使…

土井光祐(2018.2)明恵関係聞書類の一般性と特殊性:言語変種とその制約条件をめぐって

土井光祐(2018.2)「明恵関係聞書類の一般性と特殊性:言語変種とその制約条件をめぐって」『駒澤国文』55 問題意識 明恵資料群全体を等質の言語データとして扱うことは非常に困難 鎌倉時代口語研究に必要な6つの視点(土井2007) 資料的性格:資料の本来的…

山本真吾(2018.4)鎌倉時代の言語規範に関する一考察:「古」なるものへの意識をめぐる

山本真吾(2018.4)「鎌倉時代の言語規範に関する一考察:「古」なるものへの意識をめぐる」藤田保幸編『言語文化の中世』和泉書院*1 要点 前後の時代と画される(引き裂かれる)「中世」が、国語意識史の中でどのように捉えられるかを、「古人」のあり方か…

山本真吾(2014.9)鎌倉時代口語の認定に関する一考察:延慶本平家物語による証明可能性をめぐる

山本真吾(2014.9)「鎌倉時代口語の認定に関する一考察:延慶本平家物語による証明可能性をめぐる」石黒圭・橋本行洋編『話し言葉と書き言葉の接点』ひつじ書房 要点 日本語史研究において「鎌倉時代口語を反映する」とされる延慶本平家物語について、その…

藤井俊博(2017.12)古典語動詞「う(得)」の用法と文体:漢文訓読的用法と和漢混淆文

藤井俊博(2017.12)「古典語動詞「う(得)」の用法と文体:漢文訓読的用法と和漢混淆文」『同志社日本語研究』21 要点 「得」の用法に漢文訓読の影響から生じたものがあり、和文・和漢混淆文に取り入れられている 和文・漢文訓読文に共通して用いられる語…

楊瓊(2017.12)原因理由を表す「によりて」について:漢文訓読の影響をめぐって

楊瓊(2017.12)「原因理由を表す「によりて」について:漢文訓読の影響をめぐって」『表現研究』106*1 要点 原因理由を示すニヨッテが「おかげで」のようなプラスの意で用いられるようになるのは、漢文訓読(特に仏典)のおかげ ニヨッテ成立説諸説 漢文訓…