鈴木博(1982.3)『勅規桃源鈔』の国語学的考察
鈴木博(1982.3)「『勅規桃源鈔』の国語学的考察」『滋賀大学教育学部紀要 人文・社会・教育科学』31.
要点
- 両足院本の『勅規桃源鈔』(雲章一慶講、桃源瑞山1462抄)の資料性について。
- (「諸本の概略」は原論文参照)
- コソの結びにサフラウメが多く現れる。以下のA,B2通りが考えられるが、Bが妥当か。
- A サウ(<候)にラウの已然形ラウメが接続したもの
- B サウラワ(候の未然形)にムの已然形メが接続したサウラワメの音変化形
- ランメ・ラウメの例がないこと、タマワレ > タマウレのような awa > ɔːが見いだせることなどによる。
- 候の略形サの例が湯澤に指摘されているが、サフをサ+ソと誤ったか、サ+ソであっても「実質的には長音にサウと等しかったのではないか」
- 両足院本では、他の写本のでは~ウとあるものを、ウを落として書写する例がある(ラウ、カナウ、ソンチヤウ)
- ヒキスルの例があるが、当時のヒキズルにはヒキツル(引き+攣る)だけでなくヒキスル(引き+摺る)の両方の語源意識があり、四つ仮名の混同例としては認められない。
雑記
- 滋賀大リポジトリの勢いがいい
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