ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

李知殷(2012.8)副詞「多分」の史的変遷をめぐって

李知殷(2012.8)「副詞「多分」の史的変遷をめぐって」『立教大学大学院日本文学論叢』12.

要点

  • 「多分」が「大多数」の意から、副詞へと変化する過程について。
  • 中世の「多分」は、「ある集団、物事のなかの多い部分」を表す例が多く、一部、動詞に係る形容動詞的用法と、可能性の強い判断を表す例もある。
    • 又オコノ物ハ多分正直也。(沙石集)
  • 近世には、
    • 「多分に/多分の」の例が現れ、名詞・形容動詞として形態的に「はっきりした用法」が現れる。
    • 副詞の例も引き続きあり、不確かなことを推量する例が新たに現れ、文末表現と結びつく例も見られるようになる。
      • 願の字の筆せいは、たふん、すかうか石すりてあらふ(昨日は今日の物語)

雑記

  • 副詞の研究全然読んでないだけでめちゃくちゃあるな