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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

山本佐和子(2012.6)中世室町期における「ねまる」の意味

山本佐和子(2012.6)「中世室町期における「ねまる」の意味」『國學院雑誌』113(6).

要点

  • 抄物に以下のような~テネマルがあることに注目して、ネマルの語史を記述する。
    • 盆瓶ヲ洗テネマル婦女ノアルマテソ。(四河入海)
  • 本動詞のネマルは名語記に初例があり、室町期には広く見られるようになる。〈座る~黙坐〉と、そこから派生した〈存在〉を表す。
  • 補助動詞の~テネマルは、
    • ~て+〈存在〉を表す場合と、
    • 主体の〈状態〉を表す場合(立テネマル)とがあり、さらにそこから派生して、反復・習慣(洗テネマル、上例)や、結果状態、パーフェクト(死デネマル)、属性(瞞シテネマル)をも表すようになる。
      • この補助動詞適用法は、16Cの東国の古文書や雑兵物語、近世前期の文学作品にも散見される。
  • ネマルの補助動詞的用法の成立は、ネマルが、イルの存在動詞化・存在型アスペクト化と軌を一にするものと考えられる。

雑記

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