ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

抄物

李淑姫(2002.8)『応永二十七年本論語抄』の因由形式の階層

李淑姫(2002.8)「『応永二十七年本論語抄』の因由形式の階層」『筑波日本語研究』7 要点 応永本論語抄のニヨッテは、キリシタン資料・虎明本と比べると階層的にはホドニに近い 前提 抄物における因由形式についての小林1973の記述 ホドニ・ニヨッテは口語…

迫野虔徳(2012.12)仮定条件表現「ウニハ」

迫野虔徳(2012.12)「仮定条件表現「ウニハ」」『方言史と日本語史』清文堂 要点 東国抄物に見られる「ウニハ」の再検討 問題 金田弘の指摘する、東国抄物の特徴語 コピュラのダ 助動詞ナイ 助動詞ヨウ 助動詞ベイ ハ行四段動詞連用形促音便 形容詞連用形の…

外山映次(1969)条件句を作る「ウニハ」をめぐって

外山映次(1969)「条件句を作る「ウニハ」をめぐって」『佐伯博士古稀記念国語学論集』表現社 要点 特に洞門抄物に見られる「ウニハ」について ムニハ > ンニハ を経た室町口語のウニハを洞門抄物が取り入れ、固定化したものと見る 問題 無門関抄四十八則の…

福沢将樹(2018.10)事態継続と期間継続:中世抄物を中心に

福沢将樹(2018.10)「事態継続と期間継続:中世抄物を中心に」青木博史・小柳智一・吉田永弘編『日本語文法史研究 4』ひつじ書房 要点 「継続」を「事態継続」と「期間継続」に分けて分析することで、純粋な「動作継続」が中世後期には見られないことを示す…

山田潔(2015.3)『玉塵抄』の並列表現:「ツ」「タリ」の用法

山田潔(2015.3)「『玉塵抄』の並列表現:「ツ」「タリ」の用法」中村綠郎編『日本語史の研究と資料』明治書院 要点 ツ・タリによる並列表現に関して、玉塵抄の定点観測に基づき、タリがツを侵食する過程を見る ツの用法 V1V2ツ:アガツヽサガツヽ -対義と…

村上昭子(1976)『玉塵抄』『詩学大成抄』における四段動詞および上一段動詞「見る」に対応する下一(二)段動詞

村上昭子(1976)「『玉塵抄』『詩学大成抄』における四段動詞および上一段動詞「見る」に対応する下一(二)段動詞」『佐伯梅友博士喜寿記念国語学論集』表現社 要点 下二段動詞が、尊敬・可能・受身の用法を持つこと その「尊敬」のあり方の検証 下二段動…

三宅俊浩(2018.6)無意志自動詞と「可能」との関係からみた「読むる・読める」の位置づけ

この記事の続き hjl.hatenablog.com 要点 三宅(2016)説、可能動詞の中で成立の早い「読むる」が「特定の動作主を取らない」対象の属性としての可能であったことを、「自動詞と可能の連続性」という観点から観察するもの 無意志自動詞の分類 無意志自動詞を…

三宅俊浩(2016.4)可能動詞の成立 ほか

ほか とは 可能動詞関連の論文が同時期に2本出たので、二氏の論文を中心に 三宅俊浩(2016.4)「可能動詞の成立」『日本語の研究』12-2 三宅俊浩(2018.6)「無意志自動詞と「可能」との関係からみた「読むる・読める」の位置づけ」『国語と国文学』95-6 青…