ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

ヴォイス

小田勝(2008.2)中古和文における助動詞の相互承接について

小田勝(2008.2)「中古和文における助動詞の相互承接について」『岐阜聖徳学園大学紀要 外国語学部編』47 要点 要旨より、 相互承接に両様あるものは6種あるが、その一方を標準的承接順とみなすことができる 中古和文の助動詞は、その承接順を一様に確定す…

釘貫亨(1990.6)上代語動詞における自他対応形式の史的展開

釘貫亨(1990.6)「上代語動詞における自他対応形式の史的展開」佐藤喜代治編『国語論究2 文字・音韻の研究』明治書院 要点 上代語動詞の自他対応に3つのパターンを見出し、より合理的な方向へと進んだものと推定する 上代語の自他対応 上代語における自他対…

金水敏(1991.3)受動文の歴史についての一考察

金水敏(1991.3)「受動文の歴史についての一考察」『国語学』164 要点 非情の受身非固有説を再検討し、以下の点を示す 固有の非情の受身の類型が存すること ニヨッテ受身がその領域を拡張したこと 問題点 非情の受身は固有のものでないというのが通説 論者…

山口響史(2018.9)近世を中心とした受身文の歴史:非当事者の受身の発達とその位置づけ

山口響史(2018.9)「近世を中心とした受身文の歴史:非当事者の受身の発達とその位置づけ」『日本語文法』18-2 要旨 非当事者の受身、受害を表す使役受身が近世後期に発達することを示し、それを、受身が受害構文として確立する一現象として捉える テモラウ…

榎木久薫(1996.9)平安初期訓点資料における使役の格表示:ヲシテの使用に着目して

榎木久薫(1996.9)「平安初期訓点資料における使役の格表示:ヲシテの使用に着目して」『訓点語と訓点資料』98 要点 平安初期訓点資料における使役の格標示は「~ヲ~シム」「~ニ~シム」「~ヲシテ~シム」の性格について これらは中期に「~ヲシテ~シム…

山口響史(2015.10)補助動詞テモラウの機能拡張

山口響史(2015.10)「補助動詞テモラウの機能拡張」『日本語の研究』11-4 doi.org 要点 テモラウのヴォイス体系内での拡張に関して 対立的な2種のテモラウ 恩恵的(受益型):プレゼントを買ってもらう 迷惑的:そんなこと言ってもらっちゃ困る(→受身的) …

志波彩子(2018.3)受身と可能の交渉

志波彩子(2018.3)「受身と可能の交渉」『名古屋大学人文学研究論集』1 要点 「ラレル」文がどのようにして「受身」と「可能」という離れた意味を表すか、その原理について 併せて、志波彩子(2018.4)「ラル構文によるヴォイス体系:非情の受身の類型が限…

岡部嘉幸(2018.4)「非情の受身」のバリエーション:近代以前の和文資料における

岡部嘉幸(2018.4)「「非情の受身」のバリエーション:近代以前の和文資料における」岡﨑友子他編『バリエーションの中の日本語史』くろしお出版 要点 量的に少ないとされる近代以前和文の非情の受身(非情物主語の受動文)が、大きく以下の2つのタイプに分…

村上昭子(1976)『玉塵抄』『詩学大成抄』における四段動詞および上一段動詞「見る」に対応する下一(二)段動詞

村上昭子(1976)「『玉塵抄』『詩学大成抄』における四段動詞および上一段動詞「見る」に対応する下一(二)段動詞」『佐伯梅友博士喜寿記念国語学論集』表現社 要点 下二段動詞が、尊敬・可能・受身の用法を持つこと その「尊敬」のあり方の検証 下二段動…

青木博史(2018.4) 可能表現における助動詞「る」と可能動詞の競合について

青木博史(2018.4)「可能表現における助動詞「る」と可能動詞の競合について」岡﨑友子他編『バリエーションの中の日本語史』くろしお出版 これの続き hjl.hatenablog.com hjl.hatenablog.com 要点 志波(2018)*1の仮説の検証として、可能の「る」の領域に…

三宅俊浩(2016.4)可能動詞の成立 ほか

ほか とは 可能動詞関連の論文が同時期に2本出たので、二氏の論文を中心に 三宅俊浩(2016.4)「可能動詞の成立」『日本語の研究』12-2 三宅俊浩(2018.6)「無意志自動詞と「可能」との関係からみた「読むる・読める」の位置づけ」『国語と国文学』95-6 青…