ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

上代

野村剛史(1995.9)カによる係り結び試論

野村剛史(1995.9)「カによる係り結び試論」『国語国文』64-9 要点 カによる係り結びの成立に注釈説を据え、その展開に以下の三段階を想定する 注釈的二文連置 「疑問的事態カ…実事的事態」 「…カ…ム系助動詞」 成立諸説 諸説は以下参照 hjl.hatenablog.com…

野村剛史(2005.11)中古係り結びの変容

野村剛史(2005.11)「中古係り結びの変容」『国語と国文学』82-11 語順法則 上代は以下の語順がほぼ守られるが、中古に入ると崩壊する …係助詞…ノ・ガ…連体形 物思へれかも声の悲しき これは、結びの部分が連体形句(≠連体形述語)であることの現れだが、中…

鴻野知暁(2010.12)ゾの係り結びの発生について

鴻野知暁(2010.12)「ゾの係り結びの発生について」『国語国文』79-12 要点 ゾの係り結びの成立に注釈説を想定する ただし、カの注釈的説明(原因・理由)と必ずしも同一視できない点があり、ゾの場合はそれを「体言ゾ」の説明性に求める 係り結び成立諸説…

堀尾香代子(2013.3)上代語にみるヤによる係り結びの異型

堀尾香代子(2013.3)「上代語にみるヤによる係り結びの異型」『北九州市立大学文学部紀要』82 id.nii.ac.jp 要点 上代における正常でないヤの係り結びの例に関して 間投助詞ヤから係助詞ヤへの過渡的な姿として捉える 上代の助詞ヤ 係助詞・終助詞・間投助…

堀尾香代子(2018.3)『万葉集』にみる非活用語に下接する文末助詞「や」

堀尾香代子(2018.3)「『万葉集』にみる非活用語に下接する文末助詞「や」」『北九州市立大学文学部紀要』88 id.nii.ac.jp 要点 一見特異に見える、活用語につかない文末の「や」の性質 多くは終止形・已然形に下接して疑問・反語を表すが、それとは性質が…

釘貫亨(2014.12)上代語活用助辞と動詞語尾との歴史的関係について

釘貫亨(2014.12)「上代語活用助辞と動詞語尾との歴史的関係について」『国語国文』83-12 要点とこれまでの研究 上代助動詞(論文では活用助辞)成立に関する釘貫説 「す・さす」が自他対応の自動「~る」、と他動「~す」(ex.なる・なす、よる、よす)か…

釘貫亨(2018.3)奈良時代語における話者顧望マクホシをめぐる通時的諸相

釘貫亨(2018.3)「奈良時代語における話者顧望マクホシをめぐる通時的諸相」『国語語彙史の研究」37 これとの関連で同じ論文集から hjl.hatenablog.com 要点 「まくほし」(ムのク語法「マク」+「欲し」)を中心とする上代の願望表現について ムについては…

岡村弘樹(2018.3)上代における動詞ホル(欲)の活用

岡村弘樹(2018.3)「上代における動詞ホル(欲)の活用」『国語語彙史の研究』37 要点 日国・角川古語・時代別などで四段活用とされる動詞「ホル」が、四段であると解釈しづらい。万葉集では「ホル」は「ホリ」のみ、もしくは「ホリス」(未・連体・已然)…

楊瓊(2017.12)原因理由を表す「によりて」について:漢文訓読の影響をめぐって

楊瓊(2017.12)「原因理由を表す「によりて」について:漢文訓読の影響をめぐって」『表現研究』106*1 要点 原因理由を示すニヨッテが「おかげで」のようなプラスの意で用いられるようになるのは、漢文訓読(特に仏典)のおかげ ニヨッテ成立説諸説 漢文訓…

高山善行(2018.3)上代語の潜伏疑問文をめぐって:「知らず」構文の場合

高山善行(2018.3)「上代語の潜伏疑問文をめぐって:「知らず」構文の場合」『国語語彙史の研究』37 主旨 潜伏疑問文の史的なあり方の解明 潜伏疑問文:太郎は、次郎に、洋子の一番好きな作曲家を教えた(←一番好きな作曲家が誰かを教えた) 述語(西山2013…