ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

通史

吉田永弘(2016.2)「る・らる」における否定可能の展開

吉田永弘(2016.2)「「る・らる」における否定可能の展開」『国語研究』79 これとセット hjl.hatenablog.com 要点 吉田(2013)の肯定可能の分類によって否定可能の分析を行い、肯定可能と並行的に推移していることを明らかにする 肯定可能の展開 上記事参…

吉田永弘(2013.10)「る・らる」における肯定可能の展開

吉田永弘(2013.10)「「る・らる」における肯定可能の展開」『日本語の研究』9-4 www.jstage.jst.go.jp 要点 後発的な「る・らる」の肯定可能の用法に関して、 なぜ中古では肯定可能を表せなかったのか 肯定可能を表せない場合どのような形式で表していたの…

馬紹華(2017.3)原因・理由を表す「せい」の成立について

馬紹華(2017.3)「原因・理由を表す「せい」の成立について」『訓点語と訓点資料』138 要点 望ましくない原因・理由を表す「せい」について、以下2点を明らかにする 「所為」から「せい」への変化の過程 原因理由用法の成立の過程 「所為」 源流として、 漢…

佐伯暁子(2009.4)平安時代から江戸時代における二重ヲ格について

佐伯暁子(2009.4)「平安時代から江戸時代における二重ヲ格について」『国語と国文学』86-4 hjl.hatenablog.com と関連して 要点 近世以前では、現代で容認されない二重ヲ格が容認されることがある そのあり方の整理 現代語における二重ヲ格 ヲの組み合わせ…

松野美海(2014.11)感情動詞オソルのヲ/ニ格選択について:中世和漢混交文を中心に

松野美海(2014.11)「感情動詞オソルのヲ/ニ格選択について:中世和漢混交文を中心に」『名古屋大学国語国文学』107 要点 「恐れる」の格体制について、中世和漢混淆文を対象として、ヲ・ニの機能的対立を明らかにする 太郎は事業の失敗を恐れて、何もでき…

志波彩子(2018.4)ラル構文によるヴォイス体系:非情の受身の類型が限られていた理由をめぐって

志波彩子(2018.4)「ラル構文によるヴォイス体系:非情の受身の類型が限られていた理由をめぐって」岡﨑友子他編『バリエーションの中の日本語史』くろしお出版 以下の論文とセット(仮説補強) hjl.hatenablog.com 以下の論文ともセット(シンポジウム)*1…

佐伯暁子(2017.3)平安時代から江戸時代における「~ヲバ~ヲ」文について:二重ヲ格との比較も含めて

佐伯暁子(2017.3)「平安時代から江戸時代における「~ヲバ~ヲ」文について:二重ヲ格との比較も含めて」『岡大国文論稿』45 ヲバ~ヲの類型 対象ヲバ対象ヲ:女御殿、「笛をば聲をこそ聞け、見るやうやは有」とて(栄花) 相手ヲバ内容ヲ:適ニ出入スル人…

杉山俊一郎(2018.5)動詞「むくいる」の格支配について

杉山俊一郎(2018.5)「動詞「むくいる」の格支配について」『論輯(駒澤大学)』44 以下と関連して、動詞の格支配について hjl.hatenablog.com 問題 「むくいる」の格支配のあり方について 現代語は「~に報いる」 古代語は「~を報ゆ」 この交替は、 格助…

小柳智一(2018.5)文法変化の研究

小柳智一(2018.5)『文法変化の研究』くろしお出版 斜め読み

矢島正浩(2018.3)タラ節の用法変化

矢島正浩(2018.3)「タラ節の用法変化」『国語国文学報(愛知教育大学)』76 この論文とセット hjl.hatenablog.com 要点 「ナラバ節史に対して、タラ節はどのような歴史を描くのか」がテーマ 同じく、タラ用法・ナラ用法の別で見ていく タラ用法:前件と後…

矢島正浩(2017.11)中央語におけるナラバ節の用法変化

矢島正浩(2017.11)「中央語におけるナラバ節の用法変化」有田節子編『日本語条件文の諸相:地理的変異と歴史的変遷』くろしお出版 矢島(2017)による、「ナラバ」「タラバ」に関する小林(1996)説のまとめと問題提起 完了性仮定条件:未来時における動作…