ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

接続助詞

吉田永弘(2015.11)「とも」から「ても」へ

吉田永弘(2015.11)「「とも」から「ても」へ」秋元実治・青木博史・前田満編『日英語の文法化と構文化』ひつじ書房 要点 「とも」から「ても」への交替過程とその要因について 「ても」は当初逆接仮定の形式ではなかった 中世後期に助詞「て」+助詞「も」…

宮内佐夜香(2013.10)近世後期江戸語における逆接表現旧形式「ド」「ドモ」について

宮内佐夜香(2013.10)「近世後期江戸語における逆接表現旧形式「ド」「ドモ」について」『近代語研究』17 要点 近世~近代にかけて衰退したド・ドモが、衰退期にどのようにガ・ケレド・ケレドモと共存しているか 接続形式など、環境は限定的で、文語的位相…

坂詰力治(2010.10)『長恨歌抄』に見える「まいけれども」をめぐって:接続助詞「けれども」の成立説を検証する

坂詰力治(2010.10)「『長恨歌抄』に見える「まいけれども」をめぐって:接続助詞「けれども」の成立説を検証する」『近代語研究』15 要点 「けれども」説について、「まいけれ+ども」→「まい+けれども」説を中心として検証 「まいけれども」説は、積極的…

村田菜穂子(1996.10)「ケレドモ」の成立:「閉じた表現」への推移と不変化助動詞「マイ」成立との有機的連関を見据えて

村田菜穂子(1996.10)「「ケレドモ」の成立:「閉じた表現」への推移と不変化助動詞「マイ」成立との有機的連関を見据えて」『国語語彙史の研究』16 要点 「ケレドモ」の成立に、ドモの肥大化を背景とする、「マイケレ+ドモ」から「マイ+ケレドモ」への異…

竹内史郎(2007.7)節の構造変化による接続助詞の形成

竹内史郎(2007.7)「節の構造変化による接続助詞の形成」青木博史編『日本語の構造変化と文法化』ひつじ書房 要点 ガ(格助詞→接続助詞)に代表される、節の構造変化による接続助詞の形成について、 他の事例の指摘 契機や要因の考察 ガ・ヲ ガ Xノ連体ガ:…

江口匠(2016.3)〈逆接〉を表す「て」をめぐって

江口匠(2016.3)「〈逆接〉を表す「て」をめぐって」『人文』14 要点 逆接の「て」が現れる構文条件について 自分でいって、わすれるやつがあるか。 あんな事故にあって助かったのですか。本当に運がいい人だ。 これまでの指摘と枠組み 前提的に予測される…

鈴木浩(1990.9)接続助詞「し」の成立

鈴木浩(1990.9)「接続助詞「し」の成立」『文芸研究(明治大学文学部紀要)』64 要点 接続助詞「し」の成立に関して、 仕事はないし、他にすることもない 不十分終止から発生したとする考えがあるが、そこを詳しく検討する 「マイシ」に関して 初期の例は…

京健治(2015.3)シシ語尾形容詞と「不十分終止」

京健治(2015.3)「シシ語尾形容詞と「不十分終止」」『岡大国文論稿』43 要点 室町以降における、いわゆる「不十分終止」に関して、 耳も遠し、目も悪し、中にも、腰がかがうて、月日が、拝まれいで、是が迷惑な(狂言六義・腰折) 実盛心は猛けれども、老…

近藤泰弘(2007.11)平安時代語の接続助詞「て」の機能

近藤泰弘(2007.11)「平安時代語の接続助詞「て」の機能」『国学院雑誌』108-11 要点 中古の「て」は、従属度の高さによって2種に分けられることを主張 中古語の接続助詞の従属度 近藤(2000)*1 高い順に、 A類:て・つつ・ながら・で(否定)・連用形 TAM…

岡﨑友子(2018.5)「頃」の用法と歴史的変化:現代語・中古語を中心に

岡﨑友子(2018.5)「「頃」の用法と歴史的変化:現代語・中古語を中心に」藤田保幸・山崎誠編『形式語研究の現在』和泉書院 要点 形式名詞・接続助詞的な「頃」の現代語・中古語でのあり方と歴史的変遷について - 東京へ出てきた頃、この鞄を買った 接続助…